野原の呼吸【NOHALA ライブレポート】
-心火を燃やして
燃え上がるような強い怒りの様子を『心火(しんか)』と呼ぶことがある。その怒りがやがて収まり、嵐のような感情の昂りが過ぎ去ったとしても、傷痕のように残り、時に心身を蝕んでゆくことがある。
終わってしまった出来事はもう取り戻せない。相手に何かを要求することも出来なければ、思い出す度に続いてゆく悶々とした気持ち。
ネガティブな感情に分類されるであろう、その『怒り』を音楽として昇華させ、受け入れる。『怒り』を感じている自分自身を肯定する。1曲目に叩きつけたEncounterは、そうして忘れることの出来ない感情を、大切に燃やしてゆくナンバーだ。決して器用とは言えないけれど、彼ららしいどこまでも真っ直ぐな想いが込められた楽曲。
舞台はSHIBUYA THE GAME。2018年最後のステージは、この1曲から幕を開けた。
『この熱さを、届けたいと思います』Vo.RAYが観客を真っ直ぐに見つめ、その言葉に続けて演奏されたのはSleep working。ライブで披露されたのは実に約半年ぶり。現メンバーであるGt.ひさくん、Ba.NORAを迎えてから初めての演奏となった。
『友達に恵まれていて。俺と、こいつと、力を合わせてくれる友達見つけて今やってます。そうして今年のラストライブ迎えられて、マジで嬉しいです』
メンバー4人の顔が自然とほころぶ。経験した苦い別れや、夢を追いかける中で切り捨てたもの。前へと進むために絶ったこれまでは、この今の喜びのためにあるのかもしれない。癒えてゆく過去と、留まらずに進む足。隣にいる仲間。この先の未来へと思い馳せ、楽曲Horizonが紡がれる。
-野原の呼吸
『この曲に支えられて、ここまでやってこれた。''シンプルでいい、声を上げてこの世界と闘うだけ。''それが俺はこの世界の真理だと思ってる』4人の音がひとつに、奏でられるイントロ。披露されたのは、EPのティーザーとして配信もされているBoy Meets Girl。バンドきってのキラーチューンに、フロアーの熱も急上昇。気持ち良さそうに手を挙げ、レスポンスをする観客の姿。だんだんと大きくなる歓声を感じながら、続けてXingを披露。交差する人との出逢いと別れを、青春時代のように切なさが残るサウンドで刻みつける。
勢い衰えぬまま、ラストナンバーである、NOHALAが演奏される。バンドにとって激動の年となった1年を振り返りながら、2018年最後となる音を紡ぐ。
終わりがあれば始まりがある。それぞれ異なる道を歩んできた4人が音楽に導かれて出逢い、酸いや甘いだけではない道へと、これから更に飛び込んでゆく。
翌年1月24日にはGARRET udagawaにて新年1発目のライブ、2月17日に渋谷RUBY ROOMにてSEPTALUCK presents.20000000 POWERS NIGHTに、O.Aとして出演が決定と、NOHALAの呼吸が止まることはない。未来を見据え、ひたむきに音楽と向き合い続ける彼らの挑戦。始まったばかりの歩みを、どうかあなた自身に感じて欲しい。
text by Reina
【出演】
Several Calamitiies
NEO DESIVE MyND
BRANDCALL
NOHALA
SKÜNK
Dispect Hi Gain
【セットリスト】
@SHIBUYA THE GAME
1.Encounter
2.Sleep working
3.Horizon
4.Boy Meets Girl
5.Xing
6.NOHALA
【公式サイト】
【公式MV】
○Encounter
○Aug.15
○1st EP ''Four Songs For When You Wanna Disappear'' Officialteaser
聴く者の心を裸にする。貫き続ける唯一無二の音 【MADALA ライブレポート】
-異彩を放つ音楽が空間を刺激する
「行こうか」Vo.Gakuの雄叫びを皮切りに彼らの狼煙が上がる。
ミクスチャーパンクバンドMADALAは、12月27日shibuya eggmanにてイベント、The Music Draws The Life 年末スペシャルに出演。
「すいませんね、弾き語りでいい雰囲気の中・・・・・・」「これしか出来ないんですよ!」
Fuck it、MATSURIと続けて超攻撃的かつ、バンドの顔とも言える2曲を披露。激しく猛々しい楽曲とは裏腹に、茶目っ気のあるMCを展開。二面性を内に潜めるMADALAの楽曲の片鱗が垣間見えた瞬間だ。
「壁一枚くらい皆とあるからさ」観客との距離感をこう語りつつも、場内の雰囲気に臆することなく飛び込んでゆく。
3曲目には、11月18日に配信開始されたEP『SUPER NEW』より、リード曲の『バカって言ったクソったれのツラ、俺は全員覚えてるからな。』を披露。
"東京都品川区馬鹿代表"を掲げる彼らは、人々の根底に潜む怒りや憤り、葛藤、コンプレックスを音に込めて放つ。生きてゆく上で自然と抑制された感情を、押し殺すことなく表現してゆく。
「そのままいこうぜ」とGakuが心を振り切る、"馬鹿"になる瞬間に観客を誘う。笑みが零れるメンバー、ほころんでゆくオーディエンスの表情。だんだんと増えるレスポンス。
「少しずつ距離が縮まってる感じがして嬉しい」
着飾ることのない、体当たりの想いが込められた音楽だからこそ、聴く人の心へと近づいてゆけるのだろう。徐々に取り払われてゆく壁を肌で感じながら、確かに爪痕を残してゆく。
-「俺らがMADALAだ」
4曲目はこれまでの楽曲と比べ、レイドバックした雰囲気とダンスミュージックを彷彿とさせるサウンドに、MADALAの音楽性を色濃く映した、キャッチーかつエモーショナルな『Jap Dance』を披露。
「前に来い」「手を挙げろ」「声を出せ」
ライブハウスでよくある煽り。彼らは決して強要するわけではない。その代わりにずるすると、人間の潜在的な意識を引き出してゆく。『REPRESENT』はまさしくそんな楽曲だ。
例えば、ドラマの中だけにある美しさ。表面だけを立派に取り繕うような綺麗事。反対側に潜む葛藤や怒り、醜さや脆さは、美しさの向こうへ隠すべきなのか?心の中を見透かすような問いかけが、音にのって運ばれてくる。MADALAは、そんな迷いをかっさらう。美しさも醜さも、全て等身大の自分だと認めてあげていい。
それは、聴く者の心を裸にする音楽。
自らの全てをさらけ出し、音として表現する。やりたいことをやりたいようにやる。言いたいことを言う。明確な意志、覚悟がなければできないこと。彼らの瞳が鋭さを失うことはない。
「今年もあと残すところ少しの中、皆と会えて嬉しい。また来年、どこかで会いましょう」
ラストは、公開から1週間で15,000回再生を記録したナンバー『BURN』を披露。最後の瞬間まで、はち切れんばかりの熱量でフロアーを湧かした。
「俺らがMADALAです。どうぞよろしく!」
この夜の幕引きは、この言葉で締めくくられた。
12月31日にはSHIBUYA THE GAMEで行われる年越しイベントのトリを飾り、翌年1月18日にはShibuya JUMPとのコラボイベントでワンマンライブを決行、また2月20日にはclubasiaにてAnother Storyらをゲストに迎えた主催イベントを開催と、目まぐるしい新年の始まりになりそうだ。
世間がなんと言おうと、『自分』と真正面から向き合い、自分が自分であるための営みを貫くMADALA。どんな自己でさえも偽りなく表現する、その音楽が切り拓く可能性を、是非ともあなたの五感と心で感じて欲しい。
text by Reina
【出演】
・けごい(Another Story / Keigo)
・0C諸島(CODE OF ZERO)
・MADALA
・LOKA
・Initial’L
・ANTI-HERO SUPERSTAR
【セットリスト】
12/27@shibuya eggman
1.Fuck it
2.MATSURI
3.「バカって言ったクソったれのツラ、俺は全員覚えてるからな。」
4.Jap Dance
5.REPRESENT
6.BURN
【公式Webサイト】
http://www.madala-official.info
【公式MV】
▶ MATSURI
▶▶「バカって言ったクソったれのツラ、俺は全員覚えてるからな。」
▶▶▶REPRESENT
▶▶▶▶ BURN
音に現れた進化の形【NOHALA ライブレポート】
-苦い夜を越えて
二日連続のライブとなったこの日、NOHALAはNo.13 主催の「2nd Mini Album "100% Juice" release party」に出演した。
Ba.NORAの叫びを合図に、ある夏の日の衝動を疾走感溢れるサウンドでエネルギッシュに表現した『Aug.15』が披露され、まるで一曲目とは思えぬ熱気が場内を巡る。笑顔を見せる観客の姿にメンバーの顔もほころんだ。Vo.RAYが声を上げ、「テッペンを獲りにきました」と己を鼓舞した先で『Boy Meets Girl』が音を弾ませる。ナイフの切っ先のように、鋭く洗練されたこの楽曲は「今この瞬間」を、等身大の自分を裸にして表現。人が抱える孤独や葛藤を越えるのは、意志。それらを見事に表現した哲学的な歌詞も特徴だ。
続く『Xing』で更に観客の盛り上がりを誘うと、レイドバックした、切なくも妖艶なグルーヴが特徴の『Horizon』を披露し、更に広がってゆくNOHALAの色へと観客を引き込んでゆく。
「忘れなきゃいけねぇ人を、俺はこうやって心をこめて、大切に大切に燃やす」RAYの一言を皮切りに雰囲気は一変。牙を剥くように猛々しいサウンドが場内を貫く。人の心と向き合うこと。ドラマのように美しくはない、出逢いと別れ。痛み、燻る気持ち。炎のように燃え上がる感情を音楽に昇華させ、放つ。自らも飲み込んでしまいそうなエネルギーで観客を圧倒し、ラストにはバンドの顔とも言えるナンバー『NOHALA』を披露。昨日の苦い夜を越えて響く彼らの音楽は、バンドとしての進化を感じさせるものだった。
平成最後と謳われることも多い今日この頃。
NOHALAの2018年最後の音は、12/28渋谷GAMEで奏でられる。情熱と共に進化し続ける彼らに刮目したい。
text by Reina
【出演】
No.13
NOHALA
UNLiMiTED
MAKE OWN LIFE
WATER
GOLD TEAR
【セットリスト】
12/10 @渋谷GAME
1.Aug.15
2.Boy Meets Girl
3.Xing
4.Horizon
5.Encounter
6.NOHALA
【公式Webサイト】https://nohala.jimdofree.com/
【公式MV『Encounter』】feature=youtu.be&v=XTIdRzx6Zvg
不確実性の中で掴むチャンス 【NOHALA ライブレポート】
-舞台には魔物が住んでいる。
ステージから覗く幕の向こう側では、頭を悩ませるNOHALAの姿があった。
神奈川県は本厚木。ライブハウスThunder Snakeにて彼らは、メギラヲ!!とThunder Snake主催のイベント『session drunker night vol.1』に出演した。
突然の機材トラブルに見舞われながらも始まった公演。スタートを飾ったのは定番となった『Aug.15』。演奏直前の戸惑いを感じさせることのない、パワフルなパフォーマンスで場内を温めると『Boy Meets Girl』と『Xing』で、立て続けに観客を煽ってゆく。季節はすっかりと冬めいているが、ステージから放たれる熱量が、身に染みる寒さを忘れさせる。不器用ながらも突き進むNOHALAの姿に拳が上がった。
『忘れなければ前に進めない』そう声高らかにVo.RAYが叫び、10/13リリースのアルバムから『Encounter』が披露された。雄たけびと共に奏でられる泥くさい音楽の形。一曲ずつハプニングを乗り越え、あっという間にラストの曲である『NOHALA』が演奏され、公演は終了した。
-表裏一体のリスクとチャンス
不確実性の裏側にはひっそりと、息を潜めるようにしてチャンスが眠っている。無謀だと思われていること。困難だと言われていること。手が届くかもしれないこと。どうしても叶えたいこと。リスクの裏側にある可能性を掴むために、物事とどう向き合うのか。
この日駆け抜けた、少しほろ苦いステージは、彼らにとって良いきっかけの場となった。更なる高みを目指し、少しずつ歩を進めるNOHALA。
12月28日には、年内最後となるLIVEが渋谷GAMEで行われる。続く彼らの挑戦から目が離せない。
text by Reina
【セットリスト】
12/9@厚木Thunder Snake
1.Aug.15
2.Boy Meets Girl
3.Xing
4.Encounter
5.NOHALA
【公式Webサイト】
【公式MV『Encounter』】
feature=youtu.be&v=XTIdRzx6Zvg
あなたの青春時代を体現するロックバンド【NOHALA ライブレポート】
-「普段はもっと優しい声なんですよ」
言葉とは裏腹にエモーショナルな歌声で幕を開けたステージ。平均年齢22歳。若き情熱が下北沢で音を放つ。
代表曲『Aug.15』、『Boy Meets Girl』と披露し、観客を惹き込む四人。曲を重ねてゆくほどに洗練されてゆくグルーヴ。当初ステージから伝わってきた、緊張感はあっという間に姿を消す。「青春時代」を切り取ったような、輝かしくも懐かしい唯一無二の世界へと手招きされ、身体を委ねるオーディエンス。
「ここで死のうと思って来ました」その一声を皮切りにそれまでの会場の雰囲気が一変する。「金はどうでもいい、趣味はない。これで生きられたらいい」それでステージに立てるのだから、そうVo.RAYは言い切る。「すり減らした人生が一曲、3分半に凝縮される。今まで過ごしてきた人生を、この3分半に」
その言葉と共に奏でられた『Lost & Found』。何かに情熱を注げるということが、どれほど幸せなことであるか。彼らは身をもって音楽という形で訴えかける。
熱を帯びた空間は『Encounter』で更なる盛り上がりを見せ、ラストはバンド名でもあるナンバー『NOHALA』を披露して終了。何かを始めることに年齢は関係ない。必要なのはたった一つの勇気であると、そう感じさせてくれた時間だった。
ひとつひとつ、確かにその足跡を残すNOHALA。次回のLIVEは11/22、渋谷GAMEで行われる。あなたの日常に『NOHALA』というひとつの音楽を、選択してみてはいかがだろうか。
text by Reina
【セットリスト】
@2018/11/10 下北沢REG
1.Aug.15
2.Boy Meets Girl
3.Xing
4.Lost & Found
5.Encounter
6.NOHALA
【公式Webサイト】
【公式MV『Encounter』】
feature=youtu.be&v=XTIdRzx6Zvg
都会の地下は、まるで宝石箱のようだ【The holy's ライブレポート】
-人々で賑わう下北沢の、その地下で放たれる数多の音と情熱をあなたは知っているだろうか
「その日鳴り響く音楽が、誰かにとって心が満たされるような『価値』のあるものであってほしい」。そんな願いと、出演するミュージシャン達への敬意が込められたイベント『VALUES!!』。
下北沢Daisybarにて四度目を迎えるこの日は、主催であるThe holy'sのレコ発も兼ねており、ニューアルバム『MOMENT』の中からよりすぐりのナンバーを引っさげて、彼らは颯爽と登場した。
メロウかつエモーショナルなサウンドで、唯一無二の世界へ誘う『Love me more』でステージは幕を開ける。洗練されたグルーヴに身体を揺らす観客。続く『In the paradise』と『”S”』で早くも会場の温度は上昇し、観客の熱量に呼応するかのように、サウンドも加速してゆく。そうして紡ぎ出された『Cleave』。一切の無駄なく展開されてゆくパフォーマンスに、心もろとも釘付けだ。あっという間に過ぎる時間を忘れたくないと、そんな想いが聞こえてくるように、声の限り歌われる『The end』。ラストはバンドきってのキラーチューン『Lucky』で色濃く締めくくり、ステージを終えた。
アンコールを含め、全8曲を披露したThe holy's。
伝えたい想いが消えない限り、心燃やす情熱がある限り。彼らは明日もその先も、変わらずステージに立ち続けるのだろう。この日、The holy'sは新たな足跡を確かに刻みつけた。
【セットリスト】The holy's
@2018/11/3 下北沢Daisy bar
1.Love me more
2.In the paradise
3.”S”
4.Cleave
5.The end
6.Lucky
※ENCORE
7.Shower
8.G.M.T.W
【公式Webサイト】http://theholys.com/
【公式MV】https://youtu.be/HrrxXFKKJ94